「参考書よりもわかりやすい英文法超入門講座」の第18講です。
今回は「不定詞」を解説します。基礎から応用までわかりやすく解説していきます。
この記事の最後には理解を深めるための練習問題も16題収録しています。
[目次]この記事のコンテンツ一覧
英語の不定詞とは
不定詞はto+動詞の原形で、名詞・形容詞・副詞の働きをします。
この例文では「見ることは信じることだ→百聞は一見に如かず」と不定詞が名詞のように振る舞っています。これを文法用語では、不定詞の名詞的用法といいます。
ちょうど主語と補語に不定詞の名詞的用法がきている形ですね。
この記事では①不定詞の名詞的用法、②形容詞的用法、③副詞的用法を順に解説していきます。
「~的用法」と聞くと難しく聞こえるかもしれませんが、要は、to+動詞の原形(=不定詞)が名詞・形容詞・副詞の役割を果たしているだけです。
またこの記事の後半では不定詞の様々な重要表現を解説します。
記事の最後には、大学入試の過去問を中心とした英文法の練習問題も掲載しています!
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不定詞は未来志向
不定詞は「これからすること」つまり未来を表す傾向にあります。これに対して動名詞は「いましていること/いままでしてきたこと」と現在や過去を表す傾向があります。
このように不定詞は未来のイメージ。動名詞は現在・過去のイメージ。ということを知っておくことは大切です。
例えばrememberという動詞は目的語に不定詞と動名詞の両方をとることができますが、不定詞をとる場合は「未来の意味」になり、動名詞をとる場合は「過去の意味」になります。
具体的には、Remember to submit the documents. は「忘れずに書類を提出して下さい」という意味になります。一方で、 I remember submitting the documents.は「(過去に)書類を提出したのを覚えている」という意味になります。
このように不定詞の時間的イメージは未来で、動名詞の時間的イメージは現在・過去なのです。
不定詞の名詞的用法
不定詞の名詞的用法では、通常の名詞と同様に、不定詞は主語(S)、補語(C)、目的語(O)になることができます。
ただし不定詞は前置詞の目的語になることはできません。
不定詞が主語になるパターン
to+動詞の原形になっているTo learnが不定詞です。不定詞は元々動詞なので「英語を学ぶこと」のように目的語を伴うことができます。
なので、To learn English全体で主語(S)の働きをします。言い換えればTo learn English全体で「英語を学ぶこと」のように1つの名詞として機能しているわけです。
しかし、現代英語では、(例2)のように主語になる不定詞を文尾に回し、形式主語のitを使う形が普通です。
文法問題で出題される不定詞の名詞的用法でも普通は形式主語のitを文頭に置いて、本当の主語である不定詞句を文尾に持ってきたパターンが出題されます。
この例文の場合、形式主語はitで、真主語はto determine the cause of the accidentです。日本語に直して考えると「その事故の原因を特定すること」の部分が本当の主語(真主語)というわけですね。
形式主語のit+真主語の不定詞句という(例3)のような形では、forを使って不定詞句の主語を表すことができます。
この例文ではfor babiesがto cryの意味上の主語になっています。つまりfor babies to cryで「赤ちゃんが泣くこと」という意味になります。
不定詞の意味上の主語とは?
for~若しくはof~で不定詞の意味上の主語を表すことができます。例えば(例1)では、for usがto get there on timeの意味上の主語になり、「私たちがそこに時間通りに着くこと」という意味になります。
forかofか
意味上の主語を表す際は基本的にforを使います。しかし、「It is 形容詞 of <人> to do」の形のときで、形容詞の部分に人の性質を表す形容詞がくると不定詞の意味上の主語はfor~ではなくof~で表します。
このforとofの使い分けは文法問題で狙われやすいので要注意です。
以下によく出題される「人の性質を表す形容詞」を記載します。これらの形容詞がくるときはofを使います。
- kind(親切な)
- careless(不注意な)
- nice(親切な)
- good(親切な)
- foolish(馬鹿な)
- stupid(馬鹿な)
- wise(賢明な)
不定詞が補語になるパターン
補語になれるのは名詞と形容詞の2つです。そのため、不定詞の名詞的用法も補語になることができます。まずは例文を見てみましょう。
to be a doctor「医者になること」が補語(C)として働いています。主語(S)はMy dreamで動詞(V)はisですね。
不定詞が目的語になるパターン
名詞は目的語にもなれるので、不定詞の名詞的用法も目的語になれます。SVOのOになるパターンとSVOCのOになるパターンがあります。
SVOのOに不定詞がくるパターンです。不定詞句(to step down…)が他動詞decide(~を決意する)の目的語になっています。
decideは不定詞のみを目的語にとる動詞です。動名詞を目的語にとることはできません。decideのように動名詞ではなく不定詞のみを目的語にとる動詞は文法問題でよく狙われるので覚えておくと便利です。
不定詞の時間的イメージは未来なので、以下のように「これからすること」を意味する動詞が不定詞だけを目的語にとる傾向があります。
- plan to do(~を計画する)
- intend to do(~するつもりだ)
- expect to do(~するつもりだ)
- want to do(~したい)
- hope to do(~したい)
- wish to do(~したい)
- would like to do(~したい[丁寧な表現])
- promise to do(~することを約束する)
- agree to do(~することに同意する)
- offer to do(~しようと申し出る)
しかし、例外的に以下の動詞は不定詞だけを目的語にとりますが特に未来の意味合いにはなりません。
- refuse to do(~するこを拒む)
- fail to do(~しない/~できない)
- hesitate to do(~をためらう)
- pretend to do(~するふりをする)
- manage to do(どうにか~する)
- can afford to do(~する余裕がある)
SVOCのOに不定詞がくるパターンでは、itという仮の目的語を置いて、本当の目的語は文尾に置きます。She found to learn English easy.(×)と書くのは間違いです。必ず例文のような語順にします。
この例文もSVOCのOに不定詞がくるパターンですね。
it=for him to solve the problemの関係です。
for himはto solve~の意味上の主語になっています。そして、for him to solve the problemで「彼がその問題を解くこと」という目的語になっています。
不定詞の形容詞的用法
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不定詞の形容詞的用法では名詞+to doの形で「~する(ための)名詞」という意味になります。ここで重要になってくるのが、名詞と不定詞の関係性です。
- 名詞が目的語なっている場合
- 名詞が主語になっている場合
- 名詞=不定詞という同格関係になっている場合
の3パターンがあります。
実際に例文を見て理解を深めていきましょう。
この例では、somethingがto drinkの目的語になっています。
O(something)→V(drink)の語順になっているので慣れるまでわかりにくいかもしれませんね。
to arriveがThe next trainを形容詞として修飾しているわけですが、この場合、The next trainがto arriveの主語になっています。つまり、The next train that arrived~の関係性ですね。
名詞=不定詞の関係性です。これを同格といいます。つまり[a promise(約束)]=[to come back to me again(私の元に再び帰ってくること)]というわけです。
不定詞の副詞的用法
不定詞は副詞の働きをすることもできます。不定詞の副詞的用法は①目的・②感情の原因・③判断の根拠・④結果と意味で分類することができます。
①目的
for the children(子供たち)がto go across the roadの意味上の主語になっています。
そして、for the children to go across the roadで「子供たちが道を横断できるように」という目的を表しています。
この例文も不定詞の副詞的用法で目的を表しています。
in order to Vで「~するために」という目的の意味を強調しています。
ちなみに、so as toもin order toと同じ意味になります。
不定詞を否定する際はnot to doとtoの前にnotを置きます(neverを置くときもnever to doとtoの直前に置きます)。
[in order to]=[so as to]=[目的の強調」で「~するために」でしたね。そして、so as not toで「~しないために」という意味になります。
②感情の原因
この例文ではglad(嬉しい)という感情の原因を不定詞が表しています。
何が嬉しいかと言えば、to see youつまり「あなたに会えたこと」が嬉しいわけですね。
③判断の根拠
to leave以下が判断の根拠を表しています。そして副詞としてcarelessを修飾しています。
なぜ、うかつ(careless)なのかと言えば、「電車の中にカメラを置き忘れた」からですね。
なお、leave your camera in the trainは第5文型で、your cameraが目的語、in the trainが補語です。
your camera = in the trainの関係性になっている点に注意します。
④結果
to be ninetyが結果の意味を表しています。
不定詞の副詞的用法の結果用法は慣れるまで少しわかりにくいかもしれません。この3つの例文を通じて結果用法に慣れておくと良いと思います。
このfindは第5文型です。The house is on fire.の関係になっています。
only to Vで「~だが(残念ながら)結局Vした」という意味になります。この表現は結果用法の中でも特に重要です。
その他の不定詞の重要表現
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英語の不定詞の基本は、今まで説明してきた、名詞的用法・形容詞的用法・副詞的用法の3つです。
ここからはより応用的な不定詞の英語表現を解説していきます。
完了不定詞
完了不定詞はメインとなる動詞(seems)よりも不定詞の内容が「過去」の場合に用いられます。
従って、この例文をわかりやすく書き換えると、It seems that he was a musician when he was young.となります。
但し、(例2)のように完了不定詞が現在完了形の意味で使われることもあります。この例文の場合は、現在完了形の結果用法になります。
そのため(例2)は、It seems that his flight has already left.と書き換えることができます。
be to不定詞
【語彙】foreign minister(外務大臣)
be to不定詞は文脈によって様々な助動詞の代わりをし、以下の5つの意味を表すことができます。
- 予定
- 義務
- 可能
- 意志
- 運命
①予定
この例文ではbe to不定詞で「予定」の意味を表しています。be going toの代わりです。
なおこの例文中のholdは「(会などを)催す」という意味です。
②義務
この例文ではbe to不定詞で「義務」を表しています。shouldの代わりです。
③可能
この例文ではbe to不定詞で「可能」を表しています。canの代わりです。
④意志
この例文ではbe to不定詞で「意志」を表しています。willの代わりです。
⑤運命
この例文ではbe to不定詞で「運命」を表しています。shallの代わりです。
疑問詞+to 不定詞
疑問詞(waht, where, when, which, how)とto 不定詞を組み合わせて使うことができます。これは不定詞の名詞的用法の1つです。
(例1)ではwhat to doで「何をすべきか」となっています。このように疑問詞+to 不定詞は必ず「~すべき」というニュアンスを含みます。
疑問詞がwhichのときだけwhich+名詞+to 不定詞になります。
形容詞の意味の限定
不定詞の副詞的用法の応用編として「形容詞の意味の限定」という用法があります。
to swim inがdangerousを修飾し、「どう危険なのか?」を具体的に表しています。
この用法の特徴は不定詞の目的語が欠けていることです。対応する目的語は文の主語になります。つまり(例1)では、swim in this riverの関係になっています。
この例文でも「どうeazyなのか?」をto talk toが具体化しています。to talk toの目的語は主語のthe teacherです。
不定詞で程度を表す
いわゆるtoo~to…構文です。「~すぎて…できない」という意味になります。
この構文も不定詞の副詞的用法で、上記で解説した「形容詞の意味を限定する用法」の仲間です。
元々の訳は「…するには~すぎる」で、これを意訳すると、「~すぎて…できない」となります。
形容詞(副詞)+enough to…も程度を表す不定詞の重要構文です。
enough(十分に)が後ろから形容詞や副詞を修飾します。そしてto 不定詞がenoughに対する程度を表します。
この例文では、「十分に高い」→「どの程度なのか?」→「ほとんど空に届くほど」という意味の構造になっています。
so~as to…も程度を表す不定詞の重要構文です。as to…がso~に対する程度を表しています。
この例文の直訳は「その少女は私を駅に連れていってくれるほど親切だ」となります。
不定詞の慣用的な英語表現(独立不定詞)
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独立不定詞とは不定詞を用いた慣用表現です。(例1)のTo be honest with you(本当のことを言うと)がその一例です。
他にも様々な種類の不定詞の慣用表現があります。
All you have to do is (to) do~は「あなたは~しさえすればよい」という意味の不定詞の慣用表現です。isの後にはto 不定詞が置かれることもあれば原形不定詞が置かれることもあります。
この表現はYou have only to do~と同じ意味です。つまり(例2)はYou have only to learn more.と書き換えることができます。
have no choice but to~は「~せざるを得ない」という意味の独立不定詞です。
その他の代表的な独立不定詞には下記のようなものがあります。
- to begin with(まず最初に)
- to be belief(簡潔に言えば)
- to be sure(確かに)
- so to speak(言わば)
- to be frank(率直に言って)
- strange to say(奇妙な話だが)
- to say nothing of~(~は言うまでもなく)
- to make matters worse(さらに悪いことに)
- to tell the truth(本当のことを言うと)
- to say the least(控えめに言っても)
- not to say~(~とは言えないまでも)
- needless to say(言うまでもなく)
- not to mention~(~は言うまでもなく)
- never fail to do(必ず~する)
原形不定詞とは
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不定詞はto 不定詞と原形不定詞に大別することができます。原形不定詞とは不定詞のtoが省略された形です。toが省略されるので動詞の原形のみが残ります。
原形不定詞が用いられるのは以下の3つの場合です。
- let・have・makeといった使役動詞の補語
- seeなどの知覚動詞の補語
- helpの補語
それぞれ具体的な例文で確認していきましょう。
使役動詞の場合
使役動詞のlet・have・makeは、いずれも「Oに~させる」という意味になりますが、ニュアンスはそれぞれ異なります。
上記の例文で使われているletは《許可》のニュアンスです。Don’tと否定になっているので、《許可》の否定で「禁止」を表しています。
これに対してhaveは《依頼》のニュアンスです。仕事を頼むときなどによく使われます。
一方、makeは《強制》のニュアンスです。「Oに(無理やり)~させる」という意味になります。
しかし、強制のニュアンスになるのは主語が人の場合だけです。
(例4)のように主語が人以外のときは強制のニュアンスにはなりません。
get O to do~に注意!
get+O+Cもlet・have・makeのように「Oに~させる」という使役の意味を持つが、getの場合は原形不定詞はとらず、必ずto 不定詞を補語に置きます。
知覚動詞の場合
知覚動詞とはsee(見る), hear(聞く), feel(感じる), notice(気が付く), smell(臭う)などのことです。知覚動詞でも原形不定詞が用いられます。
(例1)、(例2)では、目的語が<人>だったので、動詞の原形でOKでしたが、(例3)の場合、目的語が<人>ではないので、OとCの間に受動の関係が成り立ちます。
つまりMy name was called.の関係性です。そのため同じ原形不定詞でもcalledと過去分詞の形になっています。
helpの場合
使役動詞や知覚動詞と並んでhelpも補語に原形不定詞をとる動詞です。但しhelpの場合はto 不定詞でもOKです。
つまりこの例文をI helped her to learn English.と書き換えても正しい英語になります。
英語の不定詞の練習問題-16題-
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1.It takes about an hour( )to China from here.
①get ②got ③to get ④have got
2.I expect( )an answer from George soon.
①receive ②receiving ③to receive
3.The translator found it impossible( )what he meant.
①explain ②to explain ③to be explained ④have explained
4.I have no friends( )in English.
①talking to ②talking with ③to talk ④to talk to
5.He survived the operation( )to die in a car accident.
①as ②only ③except ④without
6.Please pack up and leave here immediately( )miss the next bus.
①not so as to ②as you don’t ③not because you ④so as not to
7.The Prime Minister( )to visit America next month.
①will be ②takes ③is ④makes
8.For the first time in his life, Mike didn’t know what( ).
①do ②to do ③done ④doing
9.(a)の文と同じ意味になるようにするには?
(a)It seemed that he had finished his homework.
(b)He seemed( )his homework.
①to finish ②to have finished ③finishing ④finished
10.(a)の文と同じ意味になるようにするには?
(a)He spoke so fast that I couldn’t understand him.
(b)He spoke( )fast for me( )understand.
11.She speaks Chinese( )to be an interpreter.
①well enough ②enough well ③better enough ④enough best
12.(a)の文と同じ意味になるようにするには?
(a)You were kind enough to take me over the city.
(b)You were( )( )( )to take me over the city.
13.To make matters( ), it began to rain.
①bad ②worse ③worst
14.We like to have our friends( )and stay with us.
①to come ②come ③coming
15.This is the first time I’ve heard him( ), and I hope it is the last.
①sing ②to sing ③sang ④sung
16.Have you seen such a thing( )before?
①do ②done ③to do
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