この記事は「大学受験日本史の総まとめ」の「更新世と縄文時代」編です。
入試に役立つよう頻出事項を講義風にまとめています。
さて、大学受験日本史は、「《更新世》+《縄文時代》」からはじまります。
あまり入試に出ない分野ではありますが、おろそかにしないようにしたいものですね。
突然、出題されることも考えられますからね。
それではまず「更新世のまとめ」から見ていきましょう。
[目次]この記事のコンテンツ一覧
概要
最初に更新世が約1万年前まで続いて、約1万6千年前から縄文時代が始まるイメージです。
なので簡単に図式化すると…
更新世 ⇒ 縄文時代
となります。
なので、この記事では、「(1)更新世のまとめ」と「(2)縄文時代のまとめ」の2つにわけて解説していきます。
(1)「更新世」のまとめ
更新世の別名は2つあります。氷河時代と旧石器時代です。
つまり…
更新世=氷河時代=旧石器時代
と理解しておくと便利です。
大型動物と化石人類
更新世=氷河時代なので、更新世はとても寒い時期でした。そのため、今の日本列島と大陸(中国の方角)が地続きでした。で、大型動物(例えばマンモスなど)が、大陸から今の日本列島のところまで歩いてやってきます。その大型動物を追って人類も日本へ来るわけですね。
北からは、マンモスとヘラジカが、南からは、ナウマンゾウとオオツノジカがやってきます。で、それを追って人類が渡来するわけですが、この更新世に渡来した人類の化石人骨は入試で狙われる頻出ポイントです。
人類の進化は「猿人⇒原人⇒旧人⇒新人」の順になりますが、更新世に今の日本にやってきた人々の化石人骨はいずれも「新人」段階のものです。
この新人段階という点が入試で狙われるので、しっかりおさえておきたいですね。
で、この化石人骨ですが、何県で何人(なにじん)が出土したかも入試頻出事項です。
以下にまとめます。
静岡県⇒浜北人
沖縄県⇒港川人、山下町洞人の2つ!
いづれも新人段階の化石人骨で、更新世に大型動物を追って日本に渡来した人々ですね。
旧石器時代
更新世=氷河時代=旧石器時代です。旧石器時代のポイントはなんと言っても、
打製石器
が用いられたことです。
打製石器とは石を砕いて、刃物のように用いる石器のことです。「打製石器」自体よりも、打製石器が出土した遺跡の方が頻出事項です。で、「更新世=旧石器時代」の遺跡として一番よく出るのが、
岩宿遺跡(群馬県)
です。
そして岩宿遺跡と同じくらい頻出なのが、この岩宿遺跡を発見した人の名前で、その名も、
相沢忠洋(あいざわ・ただひろ)
です。
ちなみに、相沢忠洋が岩宿遺跡で打製石器を発見した地層は関東ローム層です。この地層の名前もよく出題されます。
そして、もう一つの有名な旧石器時代の遺跡が、ナウマンゾウの化石が出土した長野県の野尻湖遺跡です。
旧石器時代の人々の生活
旧石器時代の人々は今の我々のように定住していません。大型動物を追って、「移動する生活」をしています。そして、生活スタイルは、狩猟採集生活です。つまり農耕や牧畜をせずに、ドングリをひろったり、その辺にいる動物をつかまえて食べる生活ですね。
で、石の槍(やり)を使って狩りをするわけですが、この「石槍(いしやり)の棒の先端につけた石器を何というか?」という問題も頻出です。
答えは…
尖頭器(せんとうき)←先端をとがらせた打製石器のこと
になります。
木の棒に尖頭器をくっつけると石槍が完成するわけですね。
ちなみに、これから更新世~縄文時代にかけて、こういう「道具の名前」がたくさん出てきます。
混乱せずに道具の名称を暗記するポイントは、Googleで画像検索をすることです(資料集でもOK!)。
画像を見て「ふーん、尖頭器ってこういうものなんだぁ」と思うだけで、理解度も暗記効率もグッと高まりますよ!
で、尖頭器にとてもよく似た打製石器に、
ナイフ形石器
というものがあります。
ナイフ形石器は石を砕いて作った薄いかけらをナイフ状に仕上げたものです(これも画像をチェックして下さいね!)。
ところで、
「更新世=旧石器時代」の住まいですが、基本的に移動する生活なので、簡単なテント式の小屋や洞窟なんかを活用していました。ちゃんとした家をつくるようになるのは縄文時代以降です。
中石器時代
さて、旧石器時代末期のことを、中石器時代といいます。中石器時代で覚えておくべきポイントは一つだけです。
細石器←小型の石器を木や骨に埋め込んで使用
しつこいようですが、更新世~縄文時代に登場するいろいろな道具で混乱しないように、この「細石器」もGoogle検索や資料集で画像をしっかりチェックして下さいね!理解も深まり暗記もしやすくなりますので!
以上で、「更新世=氷河時代=旧石器時代」のポイント整理は終了です。
続いて縄文時代にはいりたいと思います。
(2)「縄文時代」のまとめ
約1万年前頃になると、「第四期完新世=縄文時代」と呼ばれる時代に突入し、地球はすっかり温暖になります。大型の動物はあたたかい気候になじめず減っていき、かわりにウサギなど小型動物が繁栄します。
そして、小さくてすばしっこい動物を捕まえるために、弓矢や落とし穴が発明されます。
縄文土器と時代区分
とはいえ、なんといっても、縄文時代の特色は縄文土器です。
で、縄文土器の特徴は以下の通りです。
- 縄による文様
- 低温で焼かれた
- 厚手
- 黒褐色
そして、この縄文土器の変化を基準に縄文時代は6つに分類されます。
①草創期
②早期
③前期
④中期
⑤後期
⑥晩期
この区分は暗記しておきましょう!
ここで2つばかり「縄文土器の種類」についての問題です。
1、「縄文時代の全期間を通じてみられる当時の主流となった土器を何というか?」
-答え:深鉢型土器(ふかばちがたどき)
2、「深鉢型土器の一種で縄文時代・中期を代表する土器は何か?」
-答え:火炎式土器
磨製石器の出現
「更新世=旧石器時代」には打製石器しかありませんでした。しかし、縄文時代になるとあらたに…
磨製石器
が加わります。
磨製石器とは表面をツルツルに加工した石器のことです(画像で確認しましょう)!
そして…
「磨製石器が登場しても引き続き打製石器も用いられる!」は入試頻出事項です!!正誤問題で狙われやすいです。
つまり、縄文時代以降は、打製石器と磨製石器を併用するわけですね。
縄文時代のいろいろな道具
そして、ここからやたらと道具の名称が出てきます。画像とつきあわせて覚えることで混乱を防ぎましょう!
- 石鍬(いしぐわ)=栽培に使うくわ
- 石皿=木の実などをすり潰す磨製石器
- すり石=石皿とセットで木の実などをすり潰す磨製石器
- 石鏃(せきぞく)=矢じりのこと
- 骨角器=魚をとるのに使う、釣り針や銛(もり)など
- 石錘・土錘(せきすい・どすい)=魚をとるのに使う網を固定する「おもり」のこと
- 丸木舟=外洋航海もこなす、当時の船の名称
例題で出題の感じをつかもう!
出題例:「以下の語群から漁労と最も関連が深い語を1つ選べ」
a,石皿 b,石鏃 c,石錘 d,石鍬
答え:c(石錘)
解説:漁労とは「魚をとること」の意。要は漁業。選択肢の中で漁労と関係があるのは、魚をとる網を固定する「おもり」である石錘(せきすい)だけなので、cが正解。
縄文時代の生活と社会
縄文時代になると更新世の移動中心の生活が終わり、定住的な生活スタイルに変わります。更新世では、移動中心なため、テントや洞窟など簡単な住居に住んでいましたが、一つの地点に長くとどまるとなると、それなりの「しっかりした家」が必要です。
そこで考案されたのが…
竪穴住居(たてあなじゅうきょ)
です。
建設方法は次の通りです。
まず穴を掘ります。そこに掘立柱(ほったてばしら)と呼ばれる支柱を立て、その上に屋根を設置します。生活スペースの中心には炉を設置します。
で、定期試験にも入試にも頻出なのが、大規模な集団や大型の竪穴住居がみられる…
青森県の三内丸山遺跡
です。
また定住にともなってゴミ捨て場である貝塚も登場します。
東京都の大森貝塚
は頻出事項です!
「東京都にある大森貝塚を発見したアメリカ人は誰か?」
-答え:モース ←これもよく出ます…!
縄文時代の交易
縄文時代になると交易も盛んにおこなわれるようになります。このことは黒曜石・ひすいの広域な分布から分かります。黒曜石とは打製石器の材料になる石の名前です。ひすいは装飾に使われる石ですね。
→黒曜石の有名な産地・・・長野県の和田峠(わだとうげ)
→ひすいの有名な産地・・・新潟県の姫川
縄文時代の宗教観と呪術的風習
アニミズム・・・あらゆる自然物には霊魂が宿っているという考え方
呪術的風習・・・女性を形どった土偶、男性器を表した石棒
抜歯・・・成人の通過儀礼
屈葬・・・遺体を強く折り曲げて埋葬すること
まとめ
以上で、更新世~縄文時代の大学受験日本史のまとめを終わります。
更新世は覚えることがちょっとしかないですが、縄文時代は意外にボリュームがありますね。
コツコツ1つずつ用語を暗記していきましょう!
この日本史まとめ記事がどなたかのお役に立ったならば筆者としては望外の喜びです。
今後ともよろしくお願いいたします!
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