[目次]この記事のコンテンツ一覧
固定資産とは
建物や備品(例:机)など長期間にわたって利用する資産を固定資産といいます。
固定資産の仕訳
固定資産を購入した際の取得原価(計上する金額)には固定資産そのものの価格(購入対価)に加え、例えば設置費用といった付随費用も含める点がポイントです。
購入対価 | 固定資産本体の価格 |
付随費用 | 設置費用など固定資産を取得するのにかかった価格 |
取得原価 | 取得原価=固定資産+付随費用 |
例えば、パソコンを100円で購入し、設置費用10円を支払った場合、購入対価が100円で、付随費用が10円なので、取得原価は110円になります。現金で支払ったと仮定すると、この例題の仕訳は以下のようになります。
(備品)110 | (現金)110 |
尚、机やパソコン等は、備品(資産)という勘定科目で処理します。
主な固定資産の勘定科目
下記に日商簿記3級によく出る固定資産の代表的な勘定科目を記載します。
勘定科目 | 例 |
建物 | 事務所 |
備品 | 机、パソコン |
土地 | 事務所用の敷地など |
車両運搬具 | 営業車 |
減価償却とは
減価償却とは固定資産を購入したときに、購入年度に一度に計上するのではなく、分割して計上する仕組みのことをいいます。例えばパソコンといった固定資産を購入すると、その価値は年々減少していきます。固定資産の価値が減った分を見積もって、毎年費用として計上していくわけです。
減価償却によって費用を計上するときには、減価償却費という勘定科目を用います。この減価償却費は、取得原価、耐用年数、残存価格の3つの要素で計算します。
耐用年数 | その固定資産の使用可能期間 |
残存価格 | 固定資産を耐用年数まで使用したときの残額 |
また、減価償却費の計算方法には定額法と定率法がありますが、日商簿記3級では定額法が出題されます。定額法による減価償却費の計算方法は、減価償却費=(取得原価-残存価格)÷耐用年数です。つまり、減価償却費とは、取得原価から残存価格を差し引いた金額を耐用年数で割ることで求めることができます。
例えば10万円のパソコンを購入した場合で、残存価格10%、耐用年数4年と仮定しましょう。このとき残存価格は取得原価の10%なので1万円になりますね。また減価償却費は、取得原価-残存価格を4(年)で割った金額なので、(10万円-1万円)÷4で、22,500円になります。
ここで、なぜパソコンの耐用年数が4年だったかというと、法律でパソコンの耐用年数は4年と決まっているからです。耐用年数は固定資産の種類によって違ってきますが、このように法律で決まっている耐用年数を法定耐用年数といいます。
固定資産ごとの耐用年数は、国税庁や東京都主税局のホームページで確認できます。なお日商簿記3級では、固定資産ごとの耐用年数を暗記する必要はありません。
減価償却の仕訳
減価償却の仕訳方法には直接法と間接法の2種類があります。
直接法は減価償却の金額分だけ直接に固定資産を減らす方法です。具体的には以下のように、固定資産を貸方に記帳して減らします。
(減価償却費)××× | (建物)××× |
一方、間接法では、固定資産の金額そのものは減らさずに代わりに減価償却累計額という資産のマイナスを表す勘定科目を貸方に記入します。
(減価償却費)××× | (減価償却累計額)××× |
固定資産を売却したときの仕訳
固定資産を売却したときの仕訳にも直接法の場合と間接法の場合があります。この2通りの場合の仕訳方法を順に解説します。
直接法
取引例:
固定資産を売却したときは、その分の帳簿価格を減らします。帳簿価格とは帳簿上の固定資産の価格のことをいいます。直接法で仕訳している場合、備品の取得原価を直接減らしているので、帳簿価格は取得原価から減価償却の累計額を差し引いた金額です。この例題の場合、取得原価100円、減価償却の累計額80円なので帳簿価格は20円ですね。
また、帳簿価格20円に対して、売却額は50円なので30円の儲けが出ています。この儲けは、固定資産売却益(収益)という勘定科目で処理します。もし反対に損が出た場合は、固定資産売却損(費用)という勘定科目で処理します。
(現金)50 | (備品)20 |
(固定資産売却益)30 |
間接法
取引例:
一方、過去に間接法で仕訳している場合、取得原価と減価償却累計額の両方を減らします。この例題の場合、取得原価100円と減価償却累計額80円を下記のように減らします。
(現金)50 | (備品)100 |
(減価償却累計額)80 | (固定資産売却益)30 |
尚、「備品」の金額が取得原価になっている点に注意して下さい。
[AD]今売れ筋の簿記の入門書をAmazonでチェックしよう!
[スポンサードリンク]