コンテンツマーケティング方法論-QCC.WEB


予備知識編

コンテンツマーケティングとは短期的収益化の野望を一切捨て去り、潜在顧客及び顕在顧客に対して課題解決型の記事、面白系の記事、●●診断のような動的ツール、動画など様々なWEBメディアをミックスしつつ、中長期的に顧客に愛され、信頼されるコンテンツを提供し続けることで、自社メディア(いわゆるオウンドメディア)のファンを増やしていくことで、最終的に収益性を高めるマーケティング施策である。

日本のWEB界はいまコンテンツマーケティング黎明期を迎えている。発祥から2年半といったところか。現時点(2017年09月)から1~3年の後には個人ブログも巻き込む形で、コンテンツの質を熾烈に競い合うコンテンツマーケティング成熟期が形成されるであろう。

なぜなら相対的に読者から見て質の低いコンテンツは検索にひっかからないからだ。検索エンジン経由でコンテンツ閲覧者を集められなければ、そのコンテンツはWEB上に存在しないのと同じだ。

Googleも質の高いコンテンツを上位表示させるためにAIも含めた高度な技術を次々と投入している。Googleの思想は単純だ。

In recent months we’ve been especially focused on helping people find high-quality sites in Google’s search results.

訳:最近、我々はGoogle検索の結果において、検索者に高品質なWEBサイトを表示することに、特に注力している。

質の低いコンテンツは検索結果から駆逐されるだけだ。

もし何かの間違いでユーザーの目に触れても「このコンテンツすばらしい!WOW!」と思われないのであれば、そのユーザーを自社のファンにするというコンテンツマーケティングの目的は達成不可能である。

 

閑話休題。

 

ところで、コンテンツマーケティングは日本国内では比較的新しいWEBマーケティング手法だ。しかし、海外のWEBマーケティング事情を概観すると、コンテンツマーケティングは既にWEBマーケティングの主流である。その市場規模は5兆円とも6兆円とも言われる。

またこれは意外に思われるかもしれないがワールドワイドで見るとB2Cでコンテンツマーケティングを実施している企業よりもB2Bのコンテンツマーケティングを実施している企業の方が多い。

この事実から分かることは「企業担当者の意志決定に深くWEBコンテンツが影響している」ということだろう。

さて、国内ではつい最近まで(あるいは今現在でも)SEO対策とリスティング広告が最も主要なWEBマーケティング手段だった。しかし、これらのマーケティング手法は既に限界を迎えており、顧客獲得単価は高騰し続けている。今後さらなるCPAの高騰が起こるだろう。

WEBの世界は変化が早いので、「コンテンツマーケティングも既に限界を迎え、廃れつつある」と言われるようになる日も何年後かには訪れると思われる。

それが2020年なのか2025年なのかは神のみぞ知るといったところであるが、2017年~2018年現在では、業態に関係なく、コンテンツマーケティングは注力するに値する有望施策である。

 

「ビックウェーブに乗り遅れるな!」

 

この考え方は変化の早いWEBの世界では最も重要な思想の1つだ。

コンテンツマーケティングの理念と目的

コンテンツマーケティングは集客手法ではあるが、単にアクセスを集めるための手法ではない。見込み客や既存顧客に「愛される媒体運営」を行い、その結果として自社の商品の売上を拡大させる手法だ。

従来のWEB広告は顧客にとっては「邪魔でうざいもの」だったが、コンテンツマーケティングは「生活の質を向上させ、悩みの解決を手伝ってくれるもの」である。

またそうでなければ意味がない。

従来型のWEB広告は顕在的ニーズを拾っていくスタイルだった。一方、コンテンツマーケティングは顕在的ニーズと潜在的ニーズの双方にアプローチする。

そのため、潜在的ニーズを顕在化させるのが得意である。

故に、コンテンツマーケティングは農耕や恋愛に例えられることが多い。種を果実に育て、知り合いを恋人に変えていくようなマーケティング技法なのだ。

例えば、転職支援会社が「転職を迷った際の21のチェックポイント」というコンテンツを公開したとする。この記事を読む層は、「将来的に転職支援に申し込むかもしれない人々」である。

彼ら・彼女らが結果的に転職を決意したときに自社の転職支援サービスが選ばれるには、こうした潜在層へ向けて、継続的に高品質な課題解決型のコンテンツを提供し、それによって、自社メディアへの信頼感を予め育てておく必要があるのだ。

 

そして、

 

信頼感とコンテンツの「質」は正比例する。

コンテンツマーケティングの手法[戦略編]

本稿では高品質なコンテンツ制作の戦略と具体的な手順を解説している。

戦略編ではコンテンツ制作の具体的なノウハウではなく、コンテンツマーケティングを実施するにあたっての「考え方」を論じる。

コンテンツ制作の根本にある「哲学」が間違っていると、どんなに努力しても結果は出ない。

あらゆるコンテンツマーケティングに共通する考え方は「コンテンツの質こそ全て」というものである。

にもかかわらず「このコンテンツ雑だな……」と感じるような記事を量産している企業を散見する。時間的には3,4時間もあれば書けるような「内容の薄い」記事を量産しているのだ。これは一番やってはいけないことである。

確かにコンテンツは無料で閲覧できるものではあるが、コンテンツ制作は有料商品を作るのと同じ気持ちで行う必要がある。コンテンツは量で勝負するものではない。1,000冊の平凡な本を読むよりも1冊の名著を読む方が人生に与えるインパクトは遥かに大きい。同様にコンテンツ制作の肝は「品質」なのである。

ではどうすれば高品質なコンテンツを作れるのだろうか。そのための第1歩はコンテンツの遺伝子を定義することから始まる。

補足&ポイント

【参考】《アドボカシーマーケィング》短期的利益を捨て、顧客目線に徹し、消費活動を支援する。必要ならば他社商品の提案も辞さない。そうしたマーケィング活動の結果として長期的に顧客との間に信頼関係を築く。コンテンツ内容においても企業都合の売り込みは一切捨て去り、徹底してユーザー視点から見たお役立ちコンテンツを作っていかなければならない。自分の制作したコンテンツは「ユーザーの生活をよりよくするものか?」と絶えず自問自答する必要がある。

コンテンツ制作のUSPを定義する

USPとはUnique Selling Propositionの略称で端的に言えば「独自の売り」を意味するマーケティング用語である。もう少し分かりやすく言い換えれば、USPとは「ユーザーに選ばれる独自の理由」である。

例えば無印良品のUSPを分析してみよう。同社の具体的なサービスをよく観察すれば簡単にUSPを理解することができる。あくまで推論ではあるが無印良品のUSPは概ね

「シンプルでおしゃれな雑貨や衣服をお手頃価格で提供する」

というところだろう。

これは確かに「ユーザーに選ばれる独自の理由」である。

無印良品の例からも分かるようにUSPはコンテンツの遺伝子のようなものである。あるいはUSPは憲法のようなものである。

あらゆるコンテンツマーケティングの施策はUSPを基盤として展開される。優れた遺伝子を持つ生物は強く、優れた憲法を持つ国は繁栄する。同様に適切なUSPは高品質なコンテンツの源泉である。

 

つまり、コンテンツの質はUSPの純粋な反映に他ならない。

ところで、恥ずかしい話ではあるが、このブログ(rurupi logs)のUSPは、つい最近まで、あまりにも酷い内容であった。そのため14カ月間にわたって241本の記事を公開してきたが、最新の月間アクセス数は約46,000PVしかない。

なぜ200本以上もの記事を書いて10万PVにすら届かないのか。簡単である。腐ったUSPから生じる超低品質な記事の寄せ集めにすぎないからである。

超低品質な記事を量産しても、「骨折り損のくたびれ儲け」にしかならないことを嫌というほど実感させられた14カ月であった。

そこで遅ればせながら「改心」した。当ブログの新たなUSPは以下の通りである。

「例え1人しか読む人がいなくても、その訪問者が抱えている課題を絶対に解決できるような記事を書くことに専心する。100%の解決案を提供することは現実には不可能かもしれないが、少なくとも読者の課題解決に必ず大きな一石を投じることのできるコンテンツを企画制作する。そのためには経済合理性や利害の枠から一歩だけはみだし、優れた貢献心を持つ。貢献心とは利害に関係なく勉強を見てくれる学友や自分の健康も顧みずに高いお金をとるわけでもなく、心温かい診療と高度な医療を提供する医者のようなものである。そうした貢献心を持つことで圧倒的に親切なコンテンツを創出する」

さて、話を本題に戻しUSPの設定方法を解説する。

①USPはその根拠に自社(または自分自身)の「強み」が無ければ形骸化してしまう。故に、まずは強みを明確にする必要がある。筆者の場合、「例え無償であっても誰かを支援することに無類の喜びを感じる」という強みがUSPの根拠である。

補足&ポイント

強みを明確にするには「特徴や長所」を全て列挙し、それにランキングを付ければ良い。

②1番の強みを活用して、「どんな人のどんな悩みを、どうやって解消または緩和させるのか?」を考える。

上記の2つの手順を踏むことでUSPを定義することができる。

コンテンツマーケティングの手法[記事作成編]

このセクションでは当ブログ(rurupi logs)のUSPを記事作成手順に落とし込んだものを紹介する。

コンテンツマーケティングで圧倒的に重要なのは「コンテンツの質」だと述べてきた。社内でコンテンツマーケティングを実施する際、どうやってコンテンツの質を担保すべきか。特に外注も含めて複数人作業をする場合はコンテンツ品質管理ガイドラインを策定すると良い。

以下は筆者自身がブログで実践しているコンテンツ品質管理ガイドラインであり、具体的なコンテンツ作成手順である。

①情報ニーズ分析を実施し、コンテンツ設計を行う

例え情報として素晴らしい文章を用意してもそれが想定読者の求める情報でなければ意味がないし、質の高いコンテンツとは言えない。例えば「ラーメンが食べたい」という人に最高のチーズケーキをふるまってもあまり喜ばれないのと同じだ。

そこでこれから書く記事のテーマにはどのような情報ニーズがあるのかを、なるべく実証的に検証し、コンテンツ構成を設計する必要がある。
ここでは一例として「ブログへのアクセスを増やす方法」というテーマで記事を書くものとし、

コンテンツ構成を考える方法を説明する。

ステップ① コンテンツに盛り込むべき情報を明らかにする目的で、「ブログ アクセス 増やす」などブログのアクセスアップに関するキーワードでGoogle検索、はてなブックマーク検索、Yahoo!知恵袋検索、Amazon検索を実施する。Googleキーワードプランナーを使えば検索されている関連キーワードの傾向も掴むことができる。

ステップ② Googleで上位表示されている記事、はてなブックマークの人気記事を分析することで、ブログのアクセスを増やしたい人が欲しがっている情報の傾向を知ることができる。またYahoo!知恵袋ではブログのアクセスを増やす上でどのような悩みを抱えている人がいるかを知ることができる。さらにAmazon検索で人気ブログを書くためのノウハウ本等のレビューを分析する。特に不満系のレビューはどのような情報を盛り込むかの参考になる。

以上の分析からコンテンツ設計を考えれば、記事に盛り込むべきトピックを網羅することができる。

②調査研究を実施する

インプットの質とアウトプットの質は正比例する。

調査研究は全てのコンテンツ制作工程の中で最も多くの労力を投資すべき段階だ。徹底的に手間暇をかけなければならない。

これから書く記事テーマについて書籍、雑誌、WEB等を用いて情報収集を行う。情報収集、分析、加工などにかかる時間は通常10時間や20時間では済まない。100時間以上の時間をかける必要があるテーマもあるだろう。

また文献検索だけではなく一次資料にあたることも大切である。フィールドワークを実施した方がいい場合もある。

③コンテンツのスタイルを決める

コンテンツのスタイルには「である調」/「ですます調」/「対話形式」/「漫画でわかる形式」/「動画」等がある。

どのようなコンテンツ形式にするかは予算やターゲットによって決定する。テキスト中心のブログ記事風コンテンツであれば素人でも比較的簡単に実装できる。

一方、漫画や動画の場合、制作難易度は上がる傾向にある反面、「文章を読むのがめんどう」というユーザー層に効果的である。

尚、本稿では文字中心の「ブログ風記事」を作成するものとしてコンテンツ制作の手順を解説している。

④試作品を制作する

1回の執筆で記事を書きあげてしまうのは自殺行為である。試作記事を書きあげたら①加筆・訂正、②校正、をそれぞれ実施する。

そして表現におかしいところはないか。誤植はないか。最終チェックを行い、問題がなければ完成版をリリースする。

⑤完成品を公開する

完成品は未完成品である。

なるほど書籍や映画といったっコンテンツであれば完成後の手直しは原則的に不可能である。しかしブログ記事やWEBコンテンツであれば、完成後、公開後でも「加筆訂正/ゼロからの書き直し」が可能である。

そしてコンテンツの改善に終わりはない。コンテンツの完成・公開は「始まり」に他ならない。どんなに手間暇をかけたコンテンツでも公開時点の完成度は50%~70%だと認識し、完成度をさらに高めるべく、加筆と訂正を継続すべきである。

既存コンテンツのリライトは新規コンテンツ制作よりも費用対効果が高い。

※リライト・・・加筆、訂正、全面改訂などを実施すること。

なので公開後のリライトは積極的に行うべきなのだ。
コンテンツやブログ記事のリリースは船出にすぎない。母港に帰港するまでが航海である。

人によってリライトに割く時間はまちまちだと思うが、新規記事作成とリライトにかける時間的労力の比率は1:1程度が妥当だと思われる。

補足&ポイント

USPを具体的なコンテンツ制作フローに落とし込み、マニュアルとして明文化することで、コンテンツ・クオリティーをコントロールすることに役立てよう。

コンテンツ・マーケティングのために絶対にやってはいけないこと

低品質なコンテンツの量産。これだけは絶対にやってはいけない。

特に最近、ランサーズやクラウドワークスに記事作成を外注するのが流行っている。
しかし、機械的に生成された中途半端なコンテンツは毒になることはあっても、薬になることはあり得ない。作り手のリアルな息遣いが聞こえてこない魂の抜けたコンテンツやブログ記事にはなんの存在意義もない。

そういう記事は作り手の労力(制作コスト)と読みての時間を無駄に消耗させるだけである。

低品質なコンテンツは勝者を産まない。低品質なコンテンツはLOSE-LOSEの関係性だけを残す。

さらに無料ブログを利用したコンテンツ配信は絶対にやってはいけない。

最低でもレンタルサーバー×独自ドメイン×ワードプレスは使いたい。

また、コンテンツの内容が潜在ニーズを顕在ニーズに転換させることを狙ったものではいけない。そういう”あざとさ”は読者に伝わる。コンテンツマーケティングは短期的利益を捨てて行うマーケティング手法である。

故に、コンテンツ内に”広告の香り”があってはいけない。そうではなく純粋に読者満足を追求する内容でなければならない。

最近、せっかく良さげなコンテンツを作っているのに”暗に自社製品購買に誘導している”記事を散見する。コンテンツマーケティング黎明期であれば、そういう記事も通用するのだろうが、これからコンテンツマーケティング市場の競争は成熟期へ向かい成長し続けるはずだ。海外がそうであったように。

するとコンテンツの質を激しく競うようになり、短期的利益を捨てきれないコンテンツは淘汰されていくだろう。今、黎明期だからこそ短期的利益を完全に捨て去り、潜在層との信頼関係構築に専心するようなコンテンツ制作をした方が絶対に中長期的投資対効果は高い。