営業とは何か?


営業パーソンを襲う基本問題

他社の製品の方が優れていることを知っているのに自社の製品を勧めることについてどう考えればいいだろうか。もし仮に今、A社とB社が競合しているとする。そして、A社の製品の方が、価格も性能も優れたものであるとする。このときB社の社員はどういう考え方で自社のサービスを提案すればいいだろうか。この問題を「営業職の基本問題」と呼ぶことにする。

実際、このA社とB社の関係のようなことは世間にありあまるほど転がっている。

営業とは何か?

翻って(ひるがえって)、そもそも営業とは何だろうか。「最善のサービスを通じて顧客の問題解決を支援すること」と定義すると、B社の営業社員はA社の製品を見込み客に勧めなくてはいけなくなってしまう。

しかし、そんなことをしていたらB社のサービスは全く売れなくってしまう。何より、B社が営業担当者を雇っている意味がなくなってしまう。

ということは、営業とは「自社のサービスを通じて顧客の事業成功に貢献すること」と定義せざるを得ない。

しかし、そうすると、B社の社員は思い悩んでしまうのではないか。価格も性能もライバルのA社の製品の方が上で、論理的に考えれば、クライアントはA社のサービスを導入した方が絶対に得だと知りながらも、あえて自社の劣ったサービスを売らなくてはいけないからだ。

これは正に「営業職の基本問題」だ。

サービスは売らない

この「営業職の基本問題」を解決するには、サービスを売ることをせず、営業パーソンの人間性を売り込むしかない。顧客だってバカじゃない。A社の製品の方が価格も性能も優れていることは知っている。

それでもなお、B社のサービスを選んでもらうには、営業パーソンの人間性を付加価値とするしかない。

端的に言えば、

あなたがいるから御社と取引しているのですよ

とクライアントに言ってもらう必要がある。

もしこれとは逆にサービスを売っていたら、その業界でナンバーワンの会社の製品しか売れなくなってしまう。それに劣っていると知りながらも、B社の社員が自社サービスを勧めていたら、なんだか相手を騙しているような嫌な感覚に陥ってしまう。

問題を単純化する

法人営業だと思うから問題が複雑になる。商品の単価が100万、200万と高いから目が曇ってしまう。

今仮に、接客は悪いが、安くて味がよい中華料理屋Mと、味はたいしたことがないし、価格もMより高いが、物凄く接客のいい中華料理屋Nがあるとしよう。

私なら、接客の悪い「M」よりも物凄く接客のいい「N」を選ぶ。

なぜならちょっとくらい価格が高くて、味が劣っていても、気持ちよく食事ができることの方がさらに価値があるからだ

このケースは100万、200万の取引をする法人営業にもそのまま当てはまる。態度が素晴らしくて、ヒアリングが上手で、アフターケアにも一切手抜きをしないようにすれば、B社の劣った製品でもA社に勝つことができる。

クライアントの購買担当者も人間だ。一緒に気持ちよく仕事ができることは、物凄く価値のあることだと感じてくれると思う

そのためにはクイックレスポンスが基本

自社の製品がライバルよりも価格面、性能面で劣っているにも関わらず、お客様に購入していただくには、クイックレスポンスが基本になると思う。顧客からの質問の電話やメールでの問い合わせに、1秒でも早く、かつ、正確に答えることは、非常にシンプルだが、信頼を得るための極めて重要な態度である。

クイックレスポンスは営業の基本問題を乗り越え、営業パーソンの介在価値を高めるために必須の技能だ

質問が難しくて、すぐに返答できない場合でも、「今対応してます、もう少しお時間下さいメール」を送るといいと思う。こうした営業パーソンの誠意は、お客様の琴線に触れる。そして、介在価値として営業パーソンそのものが、商品とセットで評価されて、総合力でA社の安くて高機能なサービスを追い抜くことができる

クイックレスポンスは誠意を示す一例にすぎないが、誠意に満ち溢れた営業をすれば、より高くてより性能の劣ったサービスでも、営業パーソンの介在価値を含めた、総合力で製品のより優れたライバル社を追い抜くことができる。

そういう意味で改めて営業職を定義すると。

「自身の介在価値を商品に付加しつつ、自社のサービスを通じて、顧客の事業成功に貢献するよう、誠意を尽くすこと」と定義できるのではないか。

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