原因とは何か?

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因果関係は時間的先後関係だ

原因と結果の関係のわかりやすい特徴は「時間的先後関係」だ。必ず原因の方が結果よりも時間的に前にくる。例えばタバコの不始末でボヤ騒ぎがあったとしよう。このときタバコの不始末はボヤ騒ぎより以前の出来事である。

とこのように因果関係には時間的先後関係という特色がある。

原因には強い原因と弱い原因がある

原因は単一とは限らない。1つの出来事を起こすために複数の原因が絡み合っていることの方が多い。例えば、仕事中の居眠りの原因は、「前日の寝不足」・「つまらない会議」といった複数の原因から起こることが分かるだろう。そして原因には強い原因と弱い原因の2種類がある。

例えば、「新しい洋服を買った」という出来事の原因を想像してみると、新品の洋服を来ていくような集まりに誘われたという強い原因があるかもしれない。でも、そういう集まりに絶対に新しい洋服を買わなけばならないわけではないから、もっと他の原因も相まって「新しい洋服を買った」という出来事が発生したのだろう。

例えば、仕事でとてもがんばっている自分へのご褒美という意味もあったのかもしれない。また、たまたまデパートをぶらぶらしていたら、素敵な洋服を発見したのかもしれない。

それだけではなく、服屋の店員さんの態度や勧め方が非常に上手だったことも弱い原因として働いているかもしれない。

どこまで原因を遡るか?風が吹けば桶屋が儲かる?

先ほどの洋服購入の例をもう一度、考えることで、原因をどこまで遡る(さかのぼる)べきか考えてみよう。

出来事 強い原因 弱い原因
洋服を買った 新品のかわいい服で出かけたい集まりがある たまたまデパートで素敵な服を発見した
服屋の店員さんの接客が素晴らしかった

いままでの分析をまとめると上の表のようになる。だがもっと原因を翻る(ひるがえる)ことはできる。例えば、「たまたまデパートで素敵な洋服を発見した」のは、急に大雨が降ってきて雨宿りのつもりで、偶然、目の前にあったデパートに逃げ込んだことから発生した原因かもしれない。

するとさらに、強い雨が降った原因は、近くに台風が近づいていて、大気が不安定になっていたせいかもしれない。そして、さらに、台風が発生した原因は、海水温が例年より高かったからかもしれない。等と、いくらでも原因を翻る(ひるがえる)ことができる。

究極的には、自分がこの世に生まれたことも洋服を買った原因だ。

そう考えると風が吹けば桶屋が儲かるではないが、どこまで原因を翻る(ひるがえる)かは大きな問題になる。いったいどの程度まで原因を遡ればいいのか?

原因は本当に存在するのか?

こう考えると「原因なんてものは、現実に存在するのか?」という疑問にぶち当たる。今、人類社会で起きているあらゆることの原因は地球に生命が発生したからだとも言える。

しかし、そんなことを言っても仕方がない。

とはいえ、地球に生命が誕生したのは確かに原因なのだ。但し、もし「原因」というのが、単なる概念ではなくて、実際に存在するものであればの話だが。

因果関係についての面白い思考実験にバタフライ効果というものがある。知っている方も多いだろう。要は、北京で蝶が1回羽ばたけば、その、「そより」とした微風が、巡り巡って、明日のロンドンの天候を変えてしまうのはないかという話だ。

にわかには信じがたいが、理論上は完全に否定できるものではない。

しかし、やっぱり直観的に考えて、北京で蝶が1回羽ばたいただけで、明日のロンドンの天候が変わるというのは受け入れ難い。

原因は本当に実在なのだろうか?

単なる思考の産物にすぎないのではないか?

コーザナリー分析は役立つか?

コーザナリー分析とは要は、ある出来事の原因を詳細に分析することで、問題解決に役立たせようという思考法だ。

しかし、先ほどから分析している通り、原因は複数あるだけではなく、どこまででも遡ることができる。そういう意味でコーザーナリー分析は本当に問題解決に役立つのだろうか。

そもそも因果関係というものは存在しないのではないか

ただ単にある出来事Aと、別の出来事Bの間に、「たまたま」時間的先後関係が成り立っているだけなのではないか。そして、その時間的先後関係を人間が勝手に「因果関係だ」と錯覚しているだけに思えてならない。